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構造計算とは・・・?

2016年7月10日(日)

こんにちは、森です。

弊社が全棟行っている『構造計算』ですが

一般的に大きく誤解されていることを

お伝えしたいと思います。

IMGP1445.JPG

まずひとつ目。

日本で建築されているほとんどの木造2階建て住宅は

『構造計算』されていません。

なぜかといえば建築基準法で義務ではないからです。

木造2階建て住宅は建築基準法上の4号建築物と定義されます。

4号建築物の定義は

・100㎡以下の特殊建築物もしくは特殊建築物以外の建物のうち

・木造で2階建て以下かつ延べ面積500㎡以下かつ高さ13m以下かつ軒の高さ9m以下の建物

・木造以外の建物で平屋建てかつ延べ面積200㎡以下の建物

というものですが要するに小規模の建築物ということです。

この4号建築物には構造計算は確認申請において義務ではありません。

よって多くの建築業者では構造計算を行うことなく確認申請を通しています。

では構造計算をしなくても大丈夫なのでしょうか。

4号建築物でも全く制限がないわけではありません。

『壁量計算』という簡易計算により一応計算らしきことがされています。

この壁量計算は

・床面積に対して一定以上の筋違等の耐力壁を確保すること

・4分割法で耐力壁をバランスよく配置すること

・N値計算で柱頭柱脚の金物を取り付けること

を計算します。

屋根や基礎の構造に関してはまったくノータッチです。

そもそもこの壁量計算での基準を満たした建物で

構造計算を行うと3割程度強度が不足します。

また4分割法による基準を満たした建物で

偏心率を計算すると0.3程度ですが一般的な構造計算では

心率は0.15程度になりとてもバランスが良い建物とは言えません。

しかも略式計算であるためA4用紙で4枚から5枚あれば計算終了です。

では本当の『構造計算』とはどういうものでしょうか。

建築基準法では『構造計算』とは

1.時刻歴応答解析

2.限界耐力計算

3.許容応力度計算

の3つだけです。

弊社が採用している構造計算は『許容応力度計算』です。

これは

・壁配置の確認

・水平構面の地震力、風圧力に対する検討

・梁上にのる耐力壁の許容せん断力の低減計算

・横架材接合部の引き抜き力に対する検討

・水平力に対する土台の曲げとアンカーボルトの検定

・柱頭柱脚接合部の引き抜き力に対する検定



・(中略)



・基礎梁にかかる長期及び短期の曲げとせん断力に対する検討

・底盤の検定

・接地圧の検定

と、書ききれないぐらいのこまかな検討が必要です。

ちなみに計算書を全出力するとA4用紙で400枚程度になります。

40枚ではなく400枚です。

と、ここまで読んだ人はほとんどいないと思いますが

ここまでついてきてくださり、ありがとうございます。

今日は長くなりすぎたのでここまでとします。

続きはまた次回に。

次回はなぜこんな大変な『構造計算』を弊社は

全棟行っているかについて書きたいと思います。

では、また。

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