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鎖は一番弱いつなぎ目で切れる

2017年5月24日(水)

こんにちは、森です。

先日に引き続き画像無しの
文字だらけの内容です。

一応今日で区切りにしようと
思っていますがこんな文字だらけの
記事を最後まで読んでくれるのは
よっぽどの勉強家か
森ファンなんだと思います。

家づくりの計画の中で耐震に関しては
非常に多くの人が関心を持っていますが
内容に関しては業者任せにする人が
ほとんどなのではないでしょうか。

今後、ずっと住み続ける家の耐震性に関して
あまりにも無防備だと言わざるをえません。

わかりにくい内容だとは
思いますが100人に一人ぐらいは
分かってもらえるといいなという
気持ちで書いていますので
今しばらくご勘弁を。

今日の表題にもあげましたが
『鎖は一番弱いつなぎ目で切れる』のです。

昔読んだある小説の中のセリフです。

大学で構造力学を専門にしていた私には
非常に印象深いセリフでした。

鎖に限らずどんなものでも壊れるときは
頑丈な部分ではなく一番弱い部分から
壊れるものです。

家も同じです。

一般的に木造2階建て住宅で行われている
壁量計算では以下の内容に関しての
検討が行われます。

1)必要壁量の算定及び地震力、風圧力に関する検定
2)四分割法によるつり合いの検定
3)柱頭柱脚金物の検定

以上です。
前回にもお伝えしましたがこの内容で
A3一枚で納まります。

同様に構造計算(許容応力度計算)だと
どうなるのか。

1)使用材料の許容応力度の計算
2)固定荷重、積雪荷重、風圧力、地震力
 などの仮定荷重の計算
3)存在壁量の計算
4)必要壁量の計算及び地震力、風圧力に関する検討
5)重心、剛心の計算
6)偏心率の計算
7)建物の面を構成する単位要素の倍率の計算
8)地震用重量の計算
9)一次固有周期と振動特性係数の計算と各階地震力の検定
10)風圧力の計算
11)梁上に乗る耐力壁の剛性低減係数の計算
12)壁の許容せん断耐力とせん断剛性の計算
13)鉛直構面の許容せん断耐力とせん断剛性の計算
14)水平構面の許容耐力
15)偏心率とねじれ補正係数の算定
16)鉛直構面の水平荷重時応力図
17)地震時の鉛直構面の負担せん断力に対する検定
18)風圧時の鉛直構面の負担せん断力に対する検定
19)柱の長期軸力
20)柱の積雪時長期軸力
21)柱の短期軸力
22)柱の長期軸力(地震時積載荷重時)
23)水平力による軸力
24)横架材の曲げとたわみ、せん断に関する検定
25)吹き抜けに面した耐風梁の断面検定
26)柱の座屈と面外風圧力に対する検定
27)負の風圧に対する靄の断面検討
28)横架材、柱の応力図
29)横架材、柱の断面に関する検定
30)柱頭柱脚の接合部に関する検定
31)複合応力に関する検定
32)横架材端接合部のせん断に対する検定
33)地震時における水平構面のモーメントの計算
34)風圧時における水平構面のモーメントの計算
35)地震時における水平構面外周部横架材接合部
36)風圧時における水平構面外周部横架材接合部
37)筋違端部が取りつく横架材接合部の引き抜き力に対する検討
38)複合応力に関する検定
39)負の風圧に対する垂木‐母屋の接合部の検定
40)負の風圧に対する母屋‐小屋束の接合部の検定
41)基礎計算用軸力の計算
42)長期接地圧の検定
43)基礎底盤の検定
44)基礎梁の設計
45)土台とアンカーボルトの引張耐力に関する検定
46)アンカーボルトのせん断に対する検定
47)転倒モーメントによる短期接地圧の検定
48)屋根葺き材の検定
49)層間変形角の計算
50)剛性率の計算
51)偏心率の計算

めんどくさいので多少端折りましたので
正確にはこれですべてではありませんが
これだけの検定を行い一つでもNGが
出ればその部分を再検討します。

ここまで検討するとA4で200枚から
300枚程度になります。

ちなみに上の項目でNGが出た部分が
冒頭の
『鎖は一番弱いつなぎ目で切れる』
の『一番弱いつなぎ目』ということです。

アイジーでは全ての項目に関してOKが出れば
めでたく構造計算完了です。

確認申請を通すためだけに
数項目だけの検討をしただけの壁量計算と
これだけの項目の検討を行っている構造計算。

どちらが安心ですか?

では、また。

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Profile
設計 リーダー:森 貴志
設計 リーダー:森 貴志

■資格
・一級建築士
■お客様へのメッセージ
完成した後、住んで何年も経った後でも『森さんに設計してもらって本当に良かった』と言ってもらえるような設計をしたいと思います。 そのためにも、お客様が気づかないような細かな部分も感じ取り、プランに活かせるようにします。

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